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プリウスのブレーキの不具合が問題になっている。タイヤの回転を利用して発電する回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替えに問題があるという。私たちは、自動車産業に従事する者の端くれなので、こうした話題は知っていなければならない。
以下、私とチンパンジーの会話。
私「かいせいブレーキってどういう字を書くか知ってる?」
大「かいは回るの回で、せいは性格とか性別の性だと思います」
回性ブレーキ、どういう意味になるのか分かっているのだろうか。
私「回生ブレーキだぞ。F1のKERSなんかも同じ原理だろ」
大「カーズ?って何ですか?」
私「あのなぁ、サッカーばっかり詳しくてもダメだぞ。俺たちは自動車産業で働いているんだから、クルマのことには関心を持たなくちゃダメだ」
大「はぁ」
私「フェラーリってどこの国にあるか知ってるか?」
大「分かりません」
そこでHクチが助け船を出した。「サッカーが強い国だよ」
大「イタリアですか?」
私「正解」
私「ところでイタリアの首相って誰だ?」
大「ブレアですか?」
私「死ね。ブレアはイギリスだ。それにもう辞めた。今のイギリスの首相は?」
大「分かりません」
私「じゃあ3択な。1.プーチン、2.サッチャー、3.ベルルスコーニ」
大「3ですか?」
私「死ね」
私「お前、日経新聞を毎日読んでいて、一体どこを読んでるの? スポーツ欄とテレビ欄だけじゃないのか?」
大「いいえ、1面から順番に読んでます」
私「お前なあ、そういうのを犬が星を眺めているって言うんだぞ。犬は星を眺めて何を考えていると思う?」
大「きれいだなあと思っていると思います」
私「バカっ、犬が星を見てきれいなんて思っているがどうか分からないだろ」
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時折、私はお昼に3匹のチンパンジーとバイキングに行く。席に着くと大きな皿が出てきて、ここから料理争奪戦のスタートである。
大ちゃんとN村は、私より料理を持ってくるのが遅い。私があれやこれやと揃えて、さあ食べ始めるという時になって、彼らはようやくご飯と大皿のおかずをテーブルに置くという有り様である。
ある時、これが仕事の遅さにも繋がっているのだと、ひらめいたので、実験をすることにした。
「いいかお前ら。今日はオレより早く食べ始めてみぃ」
「よーい、スタート」
大ちゃんはご飯をよそいながら、私の方をチラチラ見ている。今までなかったことだ。N村は若鶏の唐揚げを持つ手を震わせながら、私の気配を探している。あまりにもケダモノみたいな取り方をして他のお客さんに迷惑を掛けやしないか、少々心配になった。
結局、彼らは私より早く食べ始めることができた。
「おお、やればできるじゃないか」と私は彼らを褒め称えた。
食べ始めてから話を聞くと、大ちゃんはご飯をよそったら、その茶碗を両手で大切に抱えながら、テーブルに持ってくるらしい。他の料理も同じ。つまり、1往復で1品しか持ってこないのである。
「それじゃ、遅いわけだ。ご飯とお茶を同時に持ってくるとか、ご飯とサラダを一緒に持ってくるとかしなきゃダメだ。それは仕事の段取りも同じだぞ」
「はぁ、片手でお茶碗を持つとこぼしてしまいそうで、今まで両手で持っていました」
幼稚園児じゃあるまいに、25歳の男がこんなものかとまたまた愕然とした。
エテ公は山に帰ってくれ。
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チンパンジーを帰して、私も帰ることにした。ハンバーグが食べたくなって、さわやかに行くことにした。
正式には「炭焼きレストランさわやか」といって、静岡県にしか店舗がない。
ここの名物は「げんこつハンバーグ」である。ちょっと赤身が残る程度がよいとされて、「しっかり焼いてください」と言わないと、赤身が残った状態で出される。
大学の友人で静岡で勤務していて東京に帰ったヤツが、久しぶりに静岡に来たとき、食べたいものは「げんこつハンバーグ」と言っていた。
また磐田出身の長澤まさみが「大好きなふるさとの味」としてテレビで紹介したこともあったらしい。
ときどき無性に食べたくなる、静岡県民が他県に誇れる味である。
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大ちゃんのお祖父さんが亡くなって、先週の金曜日に通夜に参列した。大ちゃんの自宅の近所にある叔父さんの家が会場であった。
今日の会話。
「髪の毛の薄い人と、白髪でちょっとがっちりした人が挨拶してくれたけど、どっちがお父さん?」
「メガネかけた方ですか?」
相変わらず敬語の使い方がなっていない。結局、髪の毛の薄い人がお父さんと判った。
「お父さんはおいくつ?」
「えー、ちょっと分かりません」
「はぁ、何年生まれとか、お父さんがいくつの時にお前が生まれたとか分からないのか?」
「分かりません」
「お前、天竜川で拾われてきたんだよ、きっと」
こいつが宇宙人だとしたら、奇抜な行動や頭がおかしいことも、地球生活に慣れていないのだと思えば説明がつく。
「父親は4人兄弟の末っ子なんですよ」
「ふーん」
しばらくして、「父親は次男なんです」
「はぁ? さっき末っ子って言ったじゃないか」
「父親の上にお姉さんが2人いまして‥」
もういい加減にしてくれ。
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N村も深刻だが、大ちゃんはもっと深刻である。
先日、お昼を食べていたら、大ちゃんが「実は父方の祖父が体調を崩していて入院しています。今すぐどうこうということではないのですが‥」と言ってきた。
私が「場所はどこなの?」と訊ねると、大ちゃんは「葬儀の場所ですか?」と聞き返してきた。
私は唖然とした。私が聞いているのは、入院した病院はどこかということである。誰も葬儀の場所なんか訊ねていない。縁起でもない話だ。こいつは本当にバカだと思った。病院の場所だよと念を押すと、浜松労災病院だという。チンパンジーとのクレイジーな会話が続く。
私「おじいさんはどこに住んでいるの?」
大「自宅から数百メートルのところです」
私「じゃあ近いね。おじいさんの自宅が近所にあるんだね」
大「いえ、施設に入ってます」
私「その数百メートルのところにあるっていうのは施設があるの?」
大「いえ、施設は別の場所です」
私「その数百メートルのところにあるのは何?」
大「叔父の家です」
「父親は次男で、数百メートルのところに長男の家があって、祖父はそこに住んでいました。ただ最近は施設に入っていたので、そこにはいませんでした」と説明してくれれば一発で分かるのだが、じれったい。大変じれったい。
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この頃は惰性で飯を食べている感じがしてならない。食べ物の味に感動することが少ない。熟睡や快眠も減った気がしてならない。
年齢のせいかとも思ったりするが、そうではない。部下の3匹のチンパンジーのせいだ。人間だと思うからイライラするのであって、日本語を巧みに話すチンパンジーだと割り切ってしまえば、ストレスは霧のように消えてしまう。
月曜日、私は工場で会議を取り仕切っていた。東京から会計士の先生が出席していて、浜松駅まで送迎するのはN村の仕事である。N村は終了時刻を見計らって事務所から工場にやって来る手筈になっている。そろそろ会議も終盤という頃になって、私は休憩時間にN村の携帯に電話を掛けた。
「もしもし、今どの辺り?」
「あ、あ、あのですね、その、渋滞につかまってしまってですね‥‥」
「そんなことは聞いていない。今どこにいる?」
「あ、あっ、あ、今はかささぎ大橋のちょっと手前、いや過ぎたところです」
短い休憩時間を使って電話をしているのに、N村は人の質問に全く答えていない。
次の日にやってきた銀行員のUさん(41歳)とそういう話になって、「今の若者は怒られるのが怖いから、とにかく言い訳から入るんですよ。ウチも同じですよ」と言われた。
同年代の人と「最近の若いモンは‥」という話題になると異様に盛り上がり、仕事の話も忘れてしまうぐらいである。
誰かウチのチンパンジーを引き取って下さい。
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23日スタートのブラッディ・マンデイをHDDで録画予約しようとしたら、「既に他の番組の予約がはいっています」という警告メッセージが出た。毎週録画しているレッドカーペットとドンピシャリでバッティングしたのだ。
でもDRモードで録れば、時間帯が重なっていても裏録が出来る。技術の進歩に感謝する瞬間である。日曜日の空いた時間に両方とも観ることにした。
まずは気楽に観られるレッドカーペットから。大はずれ。いい芸人が誰も出ていない。早送りで流しただけで、すぐに消去してしまった。
ブラッディ・マンデイはちょっと心を落ち着けてから観なければならない。ドラマ好きではないのだが、一度ハマると、とことんハマる性格である。
いきなり第1話から、東京で核爆弾が爆発する危機が迫るというストーリーである。
主演の三浦春馬はもちろんのこと、ヤバさたっぷりの吉瀬美智子、相変わらず硬派な松重豊といった懐かしい面々が画面に登場する。
ロシアから日本へと飛行するジャンボに核爆弾が搭載されていて、GPS(正確にはロシア版GPSのGLONASS)でナビゲーションをしていて、ロシア領を出るとロックが解除されるというのだが、機内にある核爆弾が衛星の電波を受信できるのか?と素朴に疑問だった。
ファルコンがGPS衛星にハッキングして、あたかもロシア領にいるかのように思い込ませて起爆装置を止めるのだが、GPSは3つの衛星の電波を受信しなければ測位できない筈だ。1個だけ変えて本当に止められるの~?とこれまた疑問であった。
技術的な突っ込みはさておき、やはり三浦春馬とか佐藤健のような、大人に成り切れていない若者(書いていて恥ずかしい)が精神的に揺れている様子を見て楽しむドラマなんだろうな、と思った。
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